七福神の信仰は、室町時代後期から仏教経典の「七難即滅七福即生」から生まれたと云われ。江戸後期になると「七福神信仰」が流行し、年始に七福神巡りをしたり、正月二日の夜に宝船を描いた絵を敷いて寝る風習も庶民にも浸透するほどでした。
ここ人形町は日本で一番巡拝距離が短く短時間で七福神巡りが出来る場所だそうです。
距離が短くて短時間で巡れるならということで今回は人形町の七福神巡りに行ってきました。
然し、これがとっても時間が掛かるとは予想にもしていませんでした。
生憎の曇り空で雨の心配も有りましたが何とか雨も降らずに済みました。
これも七福神のご利益なのか感謝です。
ところで七福神と言った名前は聞いたことあるけれど、宝船のイメージが強くてお正月に宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると良い初夢が見られることくらいで、良く判らない神様もいます。そこで少し事前に復習です。
七福神とは
江戸時代のころになると庶民の信仰が篤くなり、七福神は七つの除災や七つの幸福がもたらされると云われています。
元々日本にいる神様ではなくて、中国やインドから来た神様達です。日本の神様はなんと一柱だけなんですね。
日本は外国の神様まで受け入れてしまうなんて何ておおらかな民族なんでしょうか。
大黒天(だいこくてん)
大黒天はインドのヒンドゥー教の神で創造と破壊の神様であるシヴァ神の化身が元です。
日本では大きな袋に打ち出の小槌を持った姿をしています。
台所の神様、農業の神様、商売繁盛の神様として信仰されています。
毘沙門天(びしゃもんてん)
大黒天と同じくヒンドゥー教の神様で仏教と共に日本にやって来ました。
唯一甲冑を纏った武神で右手に矛、左手に宝塔を持った姿をしています。
毘沙門天を信仰すると勝負運、厄除けなど十の福が授かるといわれています。
弁財天(べんざいてん)
元はインドの水の神様だったのが中国に渡り仏教に取り入れられたことにより、音楽、知恵、弁舌、富の神様と成りました。
更に日本に来て弁財天となり『財』の文字から財富の神様としても信仰を集めました。
七福神の中では唯一の女神で琵琶を持った姿をしています。
布袋尊(ほていそん)
唯一実在した人物が七福神となったのが布袋尊です。
中国は唐時代の僧侶だそうで常に大きな袋を背負っていたところから布袋と呼ばれたそうです。
大きな太鼓腹が特徴で福の神として信仰をあつめました。
福禄寿(ふくろくじゅ)
中国の道教から伝わって来た南極星の化身です。
仙人がモデルとなっていて、頭と耳たぶが異常に長く、髭を蓄えています。
鶴を従えていて手には杖と巻物を持っています。
福禄寿は人望を意味する神様で名前の由来は中国の道教から来ています。
『福』は幸福を『禄』は身分を『寿』は長寿を表しています。
寿老人(じゅろうじん)
不老長寿の印の桃を持って、団扇で災難を祓ってくれる寿老人は長寿のシンボルである鹿を従えています。
福禄寿と同じ星の化身で中国から日本へ渡って来ました。なので福禄寿と同一神と見られることもあります。一説によると1000歳、1500歳まで生きていたとも云われている長寿の神様です。
恵比寿(えびす)
狩衣とからを着て烏帽子を被った平安時代の貴族の衣装を纏い釣り竿を持って鯛を小脇に抱えた姿をしています。
商売繁盛の神様で七福神の中で唯一日本の神様です。
日本の神話に出てくる伊邪那美命と伊耶那岐命の第一子が未熟児で産まれたことを悲しみ海に流された蛭子がその後成鳥し恵比寿となったと伝えられています。
日本橋七福神巡り
日本橋七福神めぐり公式サイトによると巡る順序は特に無いとのことなので今回は散歩がてら小伝馬町駅から出発し椙森神社を起点にして反時計回りに巡って見たいと思います。
因みに巡拝当日の小伝馬町駅の2番出口は工事で閉鎖中でした。
椙森神社(恵比寿神)
小伝馬町駅から歩くこと4、5分ほどの距離にあります。
最初の椙森神社は江戸時代より遥か昔1000年以上前の創建だそうです。
七福神は恵比寿神で「商売繁盛」の福をもたらしてくれます。
社の中には富塚があります。江戸時代の人形町は商人発祥の地であることから富籤(現代の宝くじ)が行われていた神社でもありした。
椙森神社の富塚にお参りすることで宝くじ高額当選のご利益があるかも!?
小網神社(福禄寿神)
椙森神社から歩くこと8分くらいでしょうか小網神社に近づくにつれて大勢の人が行列をなしている光景に出くわしました。
最初何かのイベントが有るのかと思って歩いて行くとその行列は目的の小網神社から始まっているではないですか。
それもなんと小網神社の前のビル周りを一周ぐるっと人が行列をなしているではありませんか。
これは驚きで最初小網神社で何かイベントでもやっているのかと思いましたが、何とこれが全て参拝客だとは驚きです。
いやー、全く事前勉強不足でした。
短時間でサクッと巡れていいなと思っていたけれど、これが甘かった。
ここは日を改めてお詣りすることにし取り敢えず外から拝んで次の神社へ向かうことにしました。
七福神は「幸福、貴富、長寿」の福をもたらしてくれる福禄寿です。
茶の木神社稲荷(布袋尊)
次に向かったのは、人形町で一際目立つリガーレ日本橋人形町の一角にポツンと鎮座している茶の木神社稲荷です。他の神社に比べて開放的で小じまりとした神社です。
小網神社から歩いて3分くらいでしょうか。
今回の七福神巡りの神社の中で一番質素な印象の神社です。
七福神は「無病息災、商売繁盛」の福をもたらしてくれる布袋尊です。
水天宮(弁財天)
次は茶の木神社稲荷から数分の処にある水天宮に向かいます。
平成30年に江戸鎮座200年を記念して社務所、社殿を建て替えました。何と境内全体が免震構造になっているんですね。
江戸時代から安産子授けの神として信仰のある水天宮はとても立派な社殿です。
参拝客も殆どが安産、子授かり祈願やお礼参りの人たちで賑わっています。
社殿の脇には「子宝の犬」の像があり、みんな子犬の頭を撫でるのでそこだけ他と比べ光り輝いています。
境内には弁財天があるように七福神は弁財天てす。「金運、財運」や「学芸、芸事」の福をもたらしてくれます。
小網神社の次に賑わっていました。
甘味処初音でちょっと休憩
まだ大して歩いていませんが、ここで少し休憩です。
水天宮からすぐ近く人形町通りに面した「甘味処 初音」に立ち寄りました。
1837年創業とあるので天保8年、ちょうど大塩平八郎の乱があった年です。200年近く前からある老舗のお店ですね。当時はどんな感じのお店だったのでしょうか。
そもそもこの場所にあったのだろうか。興味が尽きません。
今回頂いたのは、白玉抹茶あんみつの黒蜜、相方が初音白玉クリームあんみつの黒蜜で共に1100円です。
黒蜜は初めからあんみつに入っています。
神田にある甘味処の竹むら同様全体的により甘さを感じるあんみつでした。
流石に老舗だけあって店内はお客さんでいっぱいです。日本にはこうした老舗と呼ばれる百年以上も続いたお店がまだまだ沢山あります。これからも永く続いていって欲しいものです。
松島神社(大黒天)
初音でクリームあんみつを食べひと息ついたので次に向かうのは松島神社です。
ここは神社がビルに飲み込まれてしまったようでビルの一階部分に神社があります。
尤も建物の前に赤い鳥居があるので直ぐに判るでしょう。
これまで巡ってきた神社とは少し雰囲気が違う感じがします。
七福神は大国天で「五穀豊穣」の福をもたらしてくれます。
今でも台所に大黒様を祀っているご家庭もあるのではないでしょうか。
末廣神社(毘沙門天)
松島神社から1〜2分ほど歩くと末廣神社に辿り着きます。
この神社も比較的参拝の人が多く皆さん御朱印を貰うのに並んでました。
鳥居をくぐるとそれまでの喧騒が嘘の様に静まり返り、辺りは静寂さに包まれて場の空気が変わったことが感じられます。
今回巡った中で一番場の空気が変わりました。
社殿の脇には御神木があり、そこにお金を置いて
「いやすえひろがりますますすえひろがります」
と唱えると金運アップになるそうです。
七福神は「金運、健康長寿、厄除け、商売繁盛」など七福神の中で一番多くの福がある毘沙門天です。
笠間稲荷神社(寿老神)
七福神巡りの最後は末廣神社から浜町のほうへ歩いていて直ぐ、金座通りに面した処に笠間稲荷神社です。
本社は茨城県笠間市にあり五穀豊穣、商売繁盛の神様として多くの参拝を集めています。
訪れた時は参拝の方は居られず他の神社に比べてひっそりとしていました
七福神は寿老人で「長寿」の福をもたらしてくれます。
室町時代から始まり江戸時代で庶民の信仰を集めた七福神
室町時代から始まったと云われる七福神信仰は江戸時代に入って庶民の間にも広まり今のよう形になったそうです。
当初は7柱の神様じゃなかったようで5柱だったとか。
全国各地に七福神巡りの場所は幾つもあります。ここ日本橋の七福神巡りは日本で一番巡拝距離が短い七福神巡りだそうです。
然し今回初めて巡拝して判ったことですが、日本橋の七福神巡りは、距離は短くても巡拝時間はとても掛かる。
それは小網神社の参拝者の多いこと多いこと、水天宮はある程度予想していましたがそれ以上とは驚きました。
後で調べてみるとテレビで都内屈指のパワースポットと紹介されてたようです。
テレビの影響力ってホントに凄いですね。
一日で数千人は確実にいってそうです。
あれ程の人が毎回訪れると思うと神社関係者の方や神様もさぞや大変だろうなと思ってしまう次第です。
平日でも多くの人が訪れるみたいなので休日に行かれる方は時間に余裕を持って行かれたほうが良いかと思います。
七福神巡りをした後は、人形町界隈には老舗のお店や美味しい料理のお店も多くあるので楽しんでみては如何でしょうか。
それではご利益がありますように。