皆さんは「わっぱ飯」をご存じでしょうか?
名前は聞いたことがあっても、実際に食べたことがある方は少ないかもしれません。僕も「わっぱ飯」という言葉自体は知っていたものの、実際に食べたことはありませんでした。
どちらかと言えば、林業に従事する方々のお弁当というイメージが強く、江戸時代から続く郷土料理だと思っていたんです。しかし、意外にもわっぱ飯の誕生は昭和。発祥は1952年(昭和27年)、新潟市の飲食店「田舎家」だそうです。
その後、1970年(昭和45年)に福島県会津若松の料理店「田季野」が「わっぱ」と出会い、これを生かした料理として「輪箱飯(わっぱめし)」を開発しました。
わっぱとは、杉の薄い板を曲げて作られた弁当箱のこと。その「わっぱ」を使った料理を、会津若松の地で味わえるということで、早速「田季野」へ訪問してきました。
輪箱飯とはどんな料理?
まず最初に、「輪箱飯ってどんな料理?」という期待感でいっぱいでした。メニューには色々な種類の輪箱飯が並び、選ぶのに少し迷いましたが、今回は「五種輪箱」を選ぶことにしました。さらに、地元の名物として知られる「小露(こづゆ)」も一緒にいただくことに。
本日のお品書き
- 五種輪箱
- 小露(こづゆ)
前菜二品とお新香
まずは前菜が2品。茄子の煮浸しと豚そぼろというシンプルな一皿ですが、どちらも輪箱飯の前にぴったりな箸休めです。
五種輪箱飯を堪能
次にやってきたのは、五種輪箱。ぜんまい、茸、鮭、蟹、玉子という5種類の具材がたっぷり乗っています。ご飯が隠れて見えないほど具材が盛り付けられており、見るからにボリューム満点!輪箱飯は蒸された状態で提供されるので、蒸気でふんわりと温かく、蓋を開ける瞬間が何とも言えないほど期待感を高めてくれます。
一口食べてみると…
具材の旨味がご飯にしっかり染み渡っていて、口の中に広がる滋味深い味わいが最高です。具材それぞれの味が主張しつつも、全体が調和しているのが素晴らしいですね。
見た目以上にご飯の量が多く、食べ終わる頃にはお腹がしっかり満たされます。特に、会津産の美味しいお米が、具材の味を引き立てていて印象に残る美味しさでした。
小露(こづゆ)で一息
次は、地元名物の小露(こづゆ)。通常のセットには味噌汁が付きますが、今回は追加料金(440円)でこづゆに変更しました。こづゆは、里芋、木耳(キクラゲ)、人参などがたっぷり入った具沢山の一品。優しい出汁の風味が体に染み渡り、心まで温かくなるような味わいです。まだ残暑の残るこの時期、こうした滋養たっぷりの汁物は本当にありがたいですね。
味も雰囲気も楽しめる「田季野」
田季野は、料理だけでなくその建物自体にも歴史が詰まっています。元々は南会津にあった陣屋を1982年に移築し、営業を始めたとのこと。外観も内装も立派で、歴史を感じさせる趣があります。入店すると、まずは土間が広がり、そこから畳の座敷に上がって食事をいただきます。
畳の上にはテーブルと椅子が配置されていて、足を伸ばしてゆったりとした時間を過ごせる空間です。
開店直後に訪れたものの、予約客でほぼ満席。運良く入店できましたが、店内は活気があり、次々とお客さんがやってきます。やはり元祖輪箱飯ということで、普段食べたことのない郷土料理を味わいたい人々が多く訪れるようです。もし確実に食べたいなら、事前予約をしておくことをお勧めします。
会津若松の城下町でいただく輪箱飯は、どこか素朴でありながらも贅沢さを感じられる郷土料理です。わっぱに詰められた具材とご飯が絶妙に絡み合い、会津の美味しいお米と新鮮な食材が一体となって、他では味わえない特別な一品に仕上がっています。歴史ある陣屋の雰囲気を感じながら、味わい深い料理に舌鼓を打つ時間は格別です。
もし会津若松を訪れる機会があれば、ぜひ「田季野」で元祖輪箱飯を味わってみてください。会津の自然と歴史を感じる食体験が、きっと特別な思い出になることでしょう。
本日はご馳走さまでした。
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