日本には春夏秋冬の四季があり、その季節になると様々な 野菜や果物や魚介類が旬を迎えます。
それら食材は、一年を通してエネルギーが高く栄養豊富で、何よりも一番美味しく頂ける時期です。
旬の食材を食べることで地球のエネルギーの循環サイクルに乗っかり、栄養価の高い食材を摂ることが出来ます。
そうすることでいつまでも健康を維持することが出来るのでないかと考えます。では、神無月にはどんな旬の食材があるのでしょうか。
いちじく
「無花果」と書いて「いちじく」と読みます。これは花が無いように見えるところから来た当てた漢字です。
音の「いちじく」は、17世紀頃の江戸時代に中国経由で日本にやってきた時の中国語の音が変化して「いちじく」になったとか。
最初は薬用として日本にやって来た「いちじく」も香りや味が良いため、その後食用として食べられるようになりました。
元々は薬用として用いられていた「いちじく」にはどの様な健康効果があるのでしょうか。
いちじくの栄養と健康効果
いちじくは、腸を整える食物繊維と消化を助けるフィシンが特徴的な果物です。
カリウムや鉄分も多く、血流改善や貧血予防にも役立ちます。さらにポリフェノールの抗酸化作用が強く、美容や老化防止にも効果的。
健康と美を支える“天然の薬果”といえる存在です。
■ 食物繊維(特にペクチン)
働き:腸内環境を整え、便通を促す健康効果:便秘改善、腸内の善玉菌を増やす、血糖値上昇を抑える
■ カリウム
働き:余分なナトリウムを排出する健康効果:高血圧予防、むくみ改善
■ 鉄分
働き:血液中のヘモグロビンをつくる健康効果:貧血予防、冷え性改善
■ ビタミンB群(B1・B2・B6など)
働き:エネルギー代謝を助ける健康効果:疲労回復、肌や粘膜の健康維持
■ フィシン(たんぱく質分解酵素)
働き:消化を助ける健康効果:胃もたれや消化不良を防ぐ
■ ポリフェノール(アントシアニン、フィセチンなど)
働き:抗酸化作用で老化や生活習慣病を防ぐ健康効果:血流改善、美肌効果、動脈硬化予防
いちじくを使った料理
いちじくの白和え
熟れすぎぬいちじくを選ぶのが肝要だ。皮をそっとむき、白い果肉を崩さぬよう切り分ける。 水切りした豆腐をすり鉢にとり、すり胡麻と味噌を合わせる。 その香りを感じながら、いちじくを静かに和える。 口にすれば、豆腐のまろやかさの中から、いちじくの甘露がふわりと広がる。 酒のあてにしても、秋の膳の添えにもよい。
材料(4人前)
- いちじく … 4個(やや硬めのもの)
- 木綿豆腐 … 1丁
- 白ごま … 大さじ1
- 味噌 … 小さじ1
- 砂糖 … 小さじ1
- 塩 … 少々

いちじくの天ぷら
いちじくを半分に切り、衣をまとわせて、油に落とす。 じゅっと音を立て、すぐに引き上げる。 外は香ばしく、中はとろりと甘く。 塩をほんのひとつまみ振ると、甘さが際立ち、盃が恋しくなる。 熱いうちに頬張るのが、何よりの贅沢というものだ。
材料(4人前)
- いちじく … 6個
- 小麦粉 … 100g
- 冷水 … 150ml
- 卵 … 1個
- 揚げ油 … 適量
- 塩 … 適量
いちじくと生ハムの和えもの
熟れたいちじくをくし形に切り、生ハムを軽く巻く。 皿に並べ、オリーブオイルをほんの少し垂らし、黒胡椒を挽く。 いちじくの甘みと、生ハムの塩気が溶け合い、舌の上でまるで初秋の風が吹くようだ。 火を使わずとも、味わいは深く、酒席の口開けにはこれほど洒落た肴もない。
材料(4人前)
- いちじく … 4個
- 生ハム … 8枚
- オリーブオイル … 小さじ2
- 黒胡椒 … 少々

いちじくの赤ワイン煮
いちじくを皮ごと煮る。 赤ワインに砂糖とレモンをひと切れ。火を弱め、静かに煮含めてゆく。 台所に漂う葡萄酒の香りに、思わず盃を取りたくなる。 冷やしても温めてもよく、食後の一皿にもふさわしい。 いちじくの中に、秋の夕暮れがひそんでいるような味だ。
材料(4人前)
- いちじく … 6個
- 赤ワイン … 300ml
- 砂糖 … 大さじ3
- レモン … 1/2個(輪切り)
- シナモン(お好みで) … 少々
—どの品も、いちじくの「やわらかな甘さ」をどう生かすかが肝でございます。和にも洋にも姿を変えるあたり、まるで人の心のように奥深い果実ですな。