スーパーの食品コーナーで納豆が売られているのは極当たり前の光景ですが、よく見てみると国産大豆使用の納豆が結構多いような感じがします。たまたま訪れるスーパーがそうなのかもしれませんが、でも巷間大豆は殆どが輸入に頼っているのは周知の事実。なぜこれほど多くの国産大豆が店頭に陳列されているのでしょうか。また、納豆は昔から健康に良いと言われている食べ物の一つとして知られています。ではどの様に健康に良いのでしょうか。そして大豆は遺伝子組み換えなどの問題もあり果たして健康食品と言われる納豆ですが今売られている納豆は、本当に健康商品なのでしょうか。そんな疑問から少し大豆のことを調べてみました。
納豆の栄養と効果
例えば株式会社ヤマダフーズのホームページを見てみるとざっと次のようなことが書いてあります。
納豆の成分としてたんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミン、炭水化物の五大栄養素と食物繊維を含んだ完全食品です。
たんぱく質は筋肉などの体の組織を作る成分となります。
脂質はエネルギー源や神経組織となります。
炭水化物は主要なエネルギー源となります。
ビタミンは新陳代謝に使われ体の調子を整えます。
ミネラルは歯や骨を作る成分となります。
食物繊維は、腸内環境を整えたり、消化吸収を助けます。
また他にもナットウキナーゼ、イソフラボン、レシチン、大豆サポニン、大豆ペプチドなどの栄養素が挙げられます。
その中でも3つ注目なのは、レシチン、イソフラボン、ナットウキナーゼです。
レシチンは、細胞膜や脳、神経などを成形する重要な成分として使われます。イソフラボンは、ポリフェノールの一種で骨粗鬆症やアンチエイジングに効果があると言われております。
そして納豆と言えばご存知の方も多いと思います。ナットウキナーゼ。納豆の酵素であの納豆のねばねばに含まれています。
効能は血管に出来る血栓を溶かす働きがあります。また驚くことにこのナットウキナーゼは水質浄化にも使われているんですね。
納豆は、食べては血をサラサラにしてくれて、汚れた水も浄化してくれる、これ程強力なパワーが納豆には有るんですね。恐るべしです。
納豆は何から作られているの?
そんな栄養効果の高い納豆は何から出来ているかと言うと、ご存知大豆を発酵させて作られています。つまり納豆は大豆本来持っている栄養素に加え納豆菌で発酵させることによって成分が変化して栄養価を高くした食品といえます。
この発酵については興味があるのでまたの機会に譲るとして、そもそも大豆自体に栄養価があり、大豆製品ならば、基本的に同じような効果が期待されてもいいはず。例えば、豆腐など。
でも、そこは加工工程で損なわれてしまったり、変質してしまったりで食品に寄って期待される効果はまちまちなのかもしれません。
大豆について
それでは納豆の材料でもある大豆について調べてみましょう。
大豆の自給率はどれくらいなんだろう
農林水産省のホームページを見てみると、大豆の自給率は平成28年で7%となっています。ただし、食用以外に油糧用の大豆を除くとなると24%になるようです。
ではどれくらいの収穫量なのでしょうか。同じく農林水産省のホームページで見てみると、明治から大正にかけて40万haあった作付面積が平成30年で14万6,600haと減少しました。
年の収穫量は167kg/10aだそうなので14万6,600haだと、おおよそ年間24万5000トンの収穫量となります。この収穫量を全て納豆にした場合、1kgあたり40パックを作ることが出来るそうなので98億パックの納豆を作ることが出来る計算になります。
然し全ての大豆を納豆にすることは出来ません。大豆用途は、納豆の他にも豆腐など他にも沢山あります。
国産大豆の主な用途
では国産大豆の主な用途を見てみましょう。
国産大豆は、多い順に(1)豆腐(53%)、(2)納豆(16%)、(3)煮豆総菜(10%)、(4)味噌醤油(10%)に使われています。(平成28年)
引用元:農林水産省ホームページ
豆腐が約半分を占めていて、残りが納豆、煮豆惣菜、味噌醤油の順となっています。
納豆については、国産大豆の16%が使われています。
納豆の需要はどれくらい?
次に年間でどれだけ需要があったのかも記載されていますので見てみると次のように書かれています。
平成28年度の国内の需要量は約342万tで、うち国産大豆は約23万tです。国産大豆は種子用(7千t)を除きますと、全量が食品用であるため食品用(需要量約98万t)
引用元:農林水産省ホームページ
以下省略
とあります。国産大豆23万t(これが全て食用になります。)に対して需要とされた量が98万tでした。つまり75万tも足りていません。
納豆の占める割合が16%なので3.68万tの国産大豆しか使われていない計算になります。
需要量と単純に比例させてみると納豆の需要量が、15.68万tとなりますので、13万tもの大豆が足りない計算になります。国産大豆の占める割合は全体の約1/4強にあたります。
このように農林水産省の統計を見てみても国産大豆だけでは、需要と供給のバランスがとても悪く、やはり輸入大豆に頼らざるを得ないことがわかります。
輸入大豆に頼らざるを得ない状況
日本人はの食卓には納豆や豆腐は欠かせないものになっています。が、大豆の自給率が悪く(大集合以外もそうですが)殆んど輸入大豆に頼らざるを得ない状況が浮かび上がってきました。輸入大豆の状況はどうなっているのでしょうか。また、ダイエットは遺伝子組み換えなどの問題もあります。輸入台本の今はどうなっているのか調べてみました。
大豆の輸入国 どこから輸入しているの?
輸入される大豆は何処の国から輸入されるのでしょうか。農林水産省のホームページを見てみると次の国から輸入しているようです。
平成30年(1~12月)の実績では、(1)アメリカ(232万t)、(2)ブラジル(56万t)、(3)カナダ(33万t)、(4)中国(3万t)となっています。
引用元:農林水産省ホームページ
アメリカが断トツに多いですね。次いでブラジル。これは意外でした。納豆の食品表示を見るとアメリカ、カナダ産と書かれたものが多くブラジル産は見たことがないですからね。
それもそのはず、食用大豆として利用するのはアメリカ産、カナダ産、中国産だそうです。
以前は納豆にも中国産が使われていたようですが今はアメリカ産とカナダ産だけになったようです。
大豆は遺伝子組み換えが出来る農作物
やはり輸入大豆と言えば遺伝子組み換えですよね。遺伝子組み換えとは作物の安定供給のため害虫や病気などに成りにくいまたは、散布農薬に強い品種にするために意図的に遺伝子を組み換えて作られた作物のことをいいます。
これは人為的に作られた作物なので人体に対する影響がどの程度まであるのか、全く影響が無いと言う人もいれば、将来的に影響があると言う人もいて、今のところ完全には解っていない。それ故に遺伝子組み換え食品に対しては不安視する向きがある。
日本で遺伝子組換え食品を利用するためには 、
引用元:消費者庁ホームページより
○「食品」としての安全性を確保するために「食品衛生法」及び「食品安全基本法」
○「飼料」としての安全性を確保するために「飼料安全法」及び「食品安全基本法」
○「生物多様性」への影響がないように「カルタヘナ法」
に基づき、それぞれ科学的な評価を行い、問題のないもののみが栽培や流通させることができる仕組みとなっており、日本で安全性が確保され、流通させることが認められている遺伝子組換え食品は、平成30年2月時点では、じゃがいも、大豆、てんさい、とうもろこし、なたね、わた、アルファルファ、パパイヤの8品目です。
全部で8品目ありますね。でも、何でパパイアなんでしょうか?飼料に使ってるのでしょうか。良くわかりません。
なので、いまいち良くわからない遺伝子組み換えですが、これを嫌う消費者のために遺伝子組み換えでない大豆を生産する外国の農家も最近では多くなって来たようです。
その大豆はIOM大豆と呼ぶようです。
IOMは、アメリカのインディアナ州、オレゴン州、ミシガン州のそれぞれの頭文字を取ってIOM大豆と読んでいるそうです。
こういう動きは、消費者に取ってはうれしいですよね。何故ならやはり品種改良は自然交配で改良された食物のほうが安全安心と言った心理が働きますからね。
遺伝子組み換え食品の表示義務
遺伝子組み換え食品の表示義務は消費者庁の「遺伝子組換え食品の表示義務」に掲載されている「遺伝子組換え食品の表示方法」を抜粋してみると次のように定められています。
表示 | 表示義務 | 説明 |
「大豆(遺伝子組換え)」など | 義務 | 遺伝子組換え農産物を区別して使っている場合 |
「大豆(遺伝子組換え不分別)」など | 義務 | 遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を区別しない(不分別)で使っている場合 |
「大豆(遺伝子組換えでない)」「大豆(遺伝子組換えでないものを分別)」など | 任意 | 遺伝子組換えでない農産物を区別して使っている場合 |
「大豆(遺伝子組換えでない)」など | 任意 | 豆油、コーン油、醤油などの製品のように、加工後に「組み換えられたDNA」等が検出できない加工食 |
これを見ると、遺伝子組換えでない大豆を使用している納豆などは本来表示義務は任意で表示しなくても良いのだけれど敢えて消費者のために表示しているようです。また、 「大豆(遺伝子組換えでない)」など 表示してあっても製造業過程でどうしても遺伝子組み換えの材料が混入する事は避けられないようです。遺伝子組換えの農産物の混入を国は全体の5%までとしています。
大豆の生産は安定しておらず、その年によって不作であったりと安定供給が難しい作物のようです。従って安定的に供給するためには害虫に強い大豆にしたり、農薬によって枯れたりしない大豆にするために昔は品種改良で行っていたのが、今は遺伝子を人為的に組み換えておこなってるのが現状なんだと思います。
最後に
そうそう農薬に強いと言えば、大豆の残留農薬についても調べてみましょう。
大豆は、こうして見て行くと主に油や飼料としての農作物なんだなということがわかります。食料として利用する割合は全体の内のほんの僅かです。私たちが実際に目にしている大豆食品には「遺伝子組換えでない」食品を多く目にすることができますが、実際には多くの遺伝子組換え大豆があり目に見えない形で間接に摂取していることになっているようです。
本当に人体に影響があるかどうかは直ぐにはわからないと思いますが将来何かしらの結果がでることだろうと思います。
こと納豆に関していえば、まず国産大豆と表示されているものであれば遺伝子組換えでない大豆を使用しているものがほとんどだと思いますので安心して食べることができるのではないでしょうか。
とは言いながら実は今回大豆に対しての農薬散布については触れておりません。これについてはまたの機会にしたいと思います。
最後までお読み頂き有難うございます。