あまりテレビとか観ていないのでニュースになっているのかどうか判りませんが、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)が2022年1月にいよいよ発行されます。これにより我々の生活が少なからず変わりそうな感じがします。良い方向に変わるのか、それとも悪い方向に変わるのか分かりませんが、どうも食に関して言えば余り良くない方向に向かっているのかなと感じます。
RCEPとは
RCEPを簡単に言うとグループを作ってその中では「自由な貿易をしましょう」と言うことです。
国は輸入品に対してはそれぞれ品目毎に関税を掛けています。
これはやたらと安い海外製品が国内に入って来て国内の同じような製品が売れなくなることを防いでいます。
逆に輸出で言えば関税を安くして貰い多くの製品を輸出し沢山買ってもらいたい思惑があります。
RCEPはその関税の撤廃もしくは引き下げをしてお互い輸出入をし安くし、自由な貿易をしようという協定です。
今回RCEPに参加する国はASEAN10カ国と日中韓FTAにオーストラリアとニュージーランドを加えた15カ国となっています。
RCEPが発行されるとどうなるの
RCEPが2022年1月に発行されるとどうなるのだろうか。その前にどんな品目が対象なのでしょうか。
対象品目
対象品目は輸出入する製品か多岐に渡るため「率」で表しています。そして各国毎に関税撤廃率を決めています。
輸出品
例えば工業製品の対中国輸出においては、関税を撤廃する品目の割合が8%から86%へと拡がります。つまり中国の人々にとっては関税が撤廃されることによりこれまで以上に日本製品を安く買えることが出来るようになります。もしかしたら自国で安く買える分、中国人の日本での爆買が無くなるかもしれませんね。
こう言ったように中国以外の国とも撤廃する品目の割合が定められており、工業製品においては91.5%の品目で関税の引き下げや撤廃となっています。
輸入品
輸入品の場合はどうでしょうか。
コメや牛肉・豚肉、乳製品などの重要5項目は関税の減免対象からは除外されていて主要なところは海外の安い食材は入って来なさそうですが、今でも中国から輸入している冷凍野菜などは段階的に関税を低くして行き16年目には撤廃となるそうです。
色々と輸入品目の関税撤廃品目の割合がどれくらいなのかパッと見調べましたが具体的な数値が出ている情報がなかなか見当たりませんでした。
メリットとデメリット
RCEPが発行されることにより日本にとってと言うより日本人にとってのメリットとデメリットは何でしょうか。
あるサイトにまとめてあったので紹介すると
3.日本へのメリット
・関税が撤廃されビジネスチャンスが広がる
・中国の巨大な市場にアクセスしやすくなる。
・別の協定と比較・検討が出来る。
4.日本へのデメリット
・安い製品や農林水産品を輸入することになる。
・知的財産権の侵害、粗悪な品が入ってきやすくなる。
・移民が増える。
引用元 プルーブ株式会社
2020年の予想記事です。
実際に施行されたらこの通りのメリット、デメリットになるのか分かりませんが少なくとも食品に関しては外国から安い食品が大量に輸入されてくることは想像することが出来ます。
ここで一つ問題じゃないかと思うのは食品の品質の問題です。
特に中国の農産物においては農薬、成長促進ホルモンなどの問題もあり、ひと昔前盛んにテレビでこの問題を取り上げていた記憶があります。
と言うことで輸出に対してはメリットはあるかと思いますが輸入に関しては余りメリットは感じられずデメリットのほうが多いような気がします。
消費者が安い食品を求めると企業はどうしても仕入コストを安くしなければならなくなります。そうなってくると今回のRCEPで輸入される安い食材が多く使われることになるでしょう。
その輸入食材が安心して食べられるものだったら良いんですがね、どうも不安です。
食の安全と健康
ただ外国の農産物が危険で日本のは安全かと言うとそこも疑問で、日本で使用する農薬の基準は諸外国に比べて甘く、多くの農薬を使用しています。使用量もそうですが外国では使用禁止の農薬でも日本はOKと言った農薬もあります。例えばラウンドアップがそうですね。
また加工食品に至っては食品添加物を使っている食品が殆どだと思いますがこの添加物の種類も諸外国に比べて多くの種類の添加物を使用しているという意見もあれば外国のほうが多いと言った意見もあります。
どちらが正しいかは判りませんがただ諸外国では健康上のリスクから禁止されている添加物を日本では使用していると言った事実はあります。
こう言った農薬や添加物は直ちに人体への影響はないかもしれませんが将来長い時間をかけて徐々に影響が出てくるのだろうと思います。
食べて直ぐに身体が悪くなるのは毒だけど、長い年月をかけて病気に罹るのであれば毒では無いと言う事なのでしょう。
原因は食品添加物や農薬などかもしれないのに、貴方の生活習慣が悪いと言う事にされて。
「生活習慣病」と言った一言で終わってしまってます。
何れにしても食の安全を考えた場合、暗い未来しか想像できない状況は何ともやるせない気持ちです。
日本の食の自給率は低い?それよりも
こうなってくると安心して食べられる物は高いお金を払って買うか、自分で畑をやって自給自足するしかないかのと思うくらいです。
戦後昭和40年代前半の日本は、まだ長閑な田園風景がそこかしこにあったのが高度成長の波と共に都市部から徐々に消えていきました。
(今では地方の田舎に行っても同じような街の景観で面白みが有りません。)
それに伴って地方の農家から企業戦士へと変わり戦後の日本を支えてきました。
その結果、日本経済は隆盛を極めお金持ちの国へ変貌したのは良かったのですが、その代わり食料を外国に頼るようになり食品自給率も諸外国に比べて格段に低い状況となりました。
そして殆どの農家では後を継ぐ者がい無くなり今では耕作放棄地が結構あると聞きます。
このような状況にある日本の食料自給率を農林水産省のホームページで見てみると、令和2年でのカロリーベースの自給率が37%、生産額ベースの自給率が67%と言う数字でした。
主な諸外国と比較してみると下の表の通りとなります。
国 | カロリーベース | 生産額ベース |
日本 | 37% | 67% |
アメリカ | 132% | 93% |
イギリス | 65% | 64% |
フランス | 125% | 83% |
ドイツ | 86% | 62% |
イタリア | 60% | 87% |
カロリーベースの自給率はあまり意味がないとも言われていて、生産額ベースの他にも様々な計算方法があります。
どの視点から見たいかによって自給率も違って見えてくることと思いますが、問題は自給率以前にやはり安全な食料をより多く供給する事が大事かと思います。
その上で国産品を増やし内需を拡大し自給率を高めて行ったほうが良いのかと考えます。
日本は折角稼いだお金を外国に支払ってしまい、国内でお金を循環させる金額が少なすぎます。
税金は外国へ流すのではなく国民の為に使ってこその税金です。
地産地消で健康な身体に
RCEPが発行されると関税撤廃、粗悪な物が流通に乗って我々の食卓へ届くようになります。
食品表示法も変わりどこで生産されたのか、また遺伝子組み換え作物が入っているかどうかも今以上判り難くなります。
気を付けるにしても我々消費者には限界がありそうです。
明治以降日本は農業国家から工業国家へ方向転換し今日迄来ました。
これからは自国の農業をもっと盛んにして安全な農作物が供給出来るような体制になってくれることが大事かと思います。
それにはやはり政治が重要になってくると思いますがまだまだ生活の中に政治が根付いていない状況では遠い将来かもしれません。
最近では道の駅などで近隣の農家が作った野菜や果物が販売されています。同じくスーパーでも地元農家の野菜コーナーがあったり美味しそうな野菜や果物が沢山売られています。
こう言った地産地消型の販売コーナーがどんどん広がって行くのが一番かもしれません。
人の身体は肉や魚や野菜などの食べ物を材料にして作られています。
その土地に住んでいる人が、その土地で出来た作物を食べることで、その土地の風土に合った身体が出来る様な気がします。
こう言った目に見える所から農業への関心、食の安全への意識を高めて行くのは良いかと感じます。
然しながら農業はそんなに簡単に出来るものではないかと、何せ自然が相手なのですから。
今年(2022年)に入ってからやたら米の備蓄をしたほうが良いと耳にする機会か多くなって来ました。これから日本は食料危機になり、食べ物が手に入りにくくなるそうです。
本当のところわかりませんが、最近は地震、富士山噴火などの災害についても頻繁に情報として流れていることからかもしれませんし、場合によっては今世界情勢が段々と不安定さを増してきているので第三次世界大戦が起こるのではなきかと言ったところから食料危機が危ぶまれているのかもしれません。
実際こう言った備蓄はいつ起こるか判らない災害に対しては日頃から備えていた方が安心です。
何も実際災害や戦争と言った以外でも日本の農業従事者の平均年齢は70歳を超えていて、今後若者の参入がなければ、農業などの担い手が徐々に居なくなってしまい、終いには農産物を自分たちの手で作ることが出来なくなってしまいます。
近い将来、日本人は生きて行くための食べ物は、全て外国からの輸入に頼る日が来てしまうのでしょうか。
生きるための食料を外国に頼ると言うことは生殺与奪権を外国に渡すことと同じなのでこれだけは避けたいものです。
これからRCEPが発行され外国から安い農産物がどんどん入って来て家計的には楽になるかと思いますが自分たちの食べる物については、自国で安全に生産されたものや家庭菜園で自給自足が良いのではと最近思うようになってきました。
参考