東京・文京区の茗荷谷。名前からして風情があるこの街は、かつて茗荷畑が広がっていた土地。今では住所からは消え、駅名だけがその名残を残しています。そんな歴史の香りが残る町並みに、小石川植物園の深い緑が映えるこの地で、ふと立ち寄った和食店「馳走ダイニング文蔵」。今日はその食体験をお届けします。
植物園の余韻を胸に、和の風情漂う店へ
茗荷谷駅を出て春日通りを後楽園方面へ歩くこと5分。ビルの1階に佇む文蔵は、間口こそ控えめながら、中に入るとゆったりとした空間が広がっています。店内は和モダンな設えで、木の温もりと程よい照明が心地よい雰囲気。
小石川植物園で自然を堪能した後、その余韻のまま訪れるにはぴったりのお店です。都会の喧騒を忘れさせてくれる、そんな一軒です。
本日のお品書き
- お通し
- お刺身3点盛り合わせ
- 茹でそら豆
- 新竹の子とわかめの若竹煮
- 本まぐろホホ肉の揚げ出し
お通しに春の香りを

まずはお通しから。この日は、菜の花のお浸し。ちょうど頼もうと思っていた菜の花が出てきた時のちょっとした嬉しさ。ほのかな苦味と上品な出汁が絶妙で、これからの料理に自然と期待が膨らみます。
お刺身三点盛りで旬を堪能

この日の刺身は、自分の“今食べたい魚”でセレクト。
クエ:やはり間違いのない美味しさ。上品な脂と歯応え。
墨烏賊:もっちりとした食感にほんのり甘み。噛むほどに旨みが広がる。
石かれいの昆布締め:しっかりと昆布の風味が乗った厚切り。これがまたお酒に合うんです。
どれも新鮮さが際立ち、文蔵の丁寧な仕事ぶりが伝わる三点でした。
茹でそら豆は“茹で加減”が勝負

そら豆って、実は茹で方でお店の個性が出ると思ってます。文蔵ではしっとりとした仕上げで、ホクホク感は控えめ。個人的にはもう少し歯ごたえのある方が好みだけど、これはこれで風味がしっかりしていて美味しい。
若竹煮で春を食す

春といえば竹の子。やわらかく、でもしっかりとした歯ごたえの新竹の子と、わかめのつるんとした舌触りの対比が楽しい。ほっとする味付けに、つい箸が止まりません。たんぱく質も意外と豊富なんですよ、竹の子って。
本まぐろホホ肉の揚げ出しで締める贅沢

これが一番印象に残った料理かもしれません。揚げたホホ肉に、出汁の風味がじんわり染み込んでいて、噛むほどにまぐろの旨みが広がる。まさに“肉”感のある魚。これはもう、酒が進むやつです。
お酒
日本酒と焼酎で味わい深く

この日は日本酒「黒龍 いっちょらい」をチョイス。クセがなく、刺身との相性が抜群。口の中で魚の旨みと酒の香りが重なり合う、この感じがたまりません。ちなみに、ハイボールと芋焼酎のソーダ割りもいただきました。酒好きにはたまらないラインナップ。


気取らず、ちゃんと美味い和食を

文蔵は、見た目の派手さはないけれど、素材と丁寧な仕込みで勝負する、まっとうな和食屋。駅からも近く、料理の質を考えると比較的リーズナブル。唯一の難点はカードが使えないことくらいでしょうか。
それでも、こんな佳い店が家の近くにあったら通いたくなる。そんな一軒です。
本日はご馳走さまでした。
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