池波正太郎は歴史小説家、時代小説家として活躍した人物で、代表作には『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』などがある。
何れのさくひんもテレビで放映されていたのでご覧になってる方も多いかと思います。
特に『鬼平犯科帳』で長谷川平蔵役を務めた二代目中村吉右衛門は池波正太郎も自身の描く平蔵のイメージにビッタリだと、ベタ褒めしていたくらいである。残念なから二代目中村吉右衛門は令和2年11月28日にご逝去されました。
池波正太郎氏は小説家の他にも映画評論家、美食家としての顔も合わせ持ち数々の書籍を出版されています。
その中で『散歩の途中何か食べたくなって』に書かれているお店が現在もまだ在るのか興味を持って訪ねて見ることにしました。
そこでエッセイの中に登場する数々のお店が現在も営んでいるのか調べて見ることにしました。
都道府県 | 市区町村 | 店舗名 | 業態 | 現在 |
東京 | 銀座 | 資生堂パーラー | レストラン・カフェ | 営業中 |
東京 | 室町 | はやし | 天ぷら | 2018年6月15日閉店 |
東京 | 神田 | 竹村 | 甘味処 | 営業中 |
東京 | 神田 | いせ源 | あんこう | 営業中 |
東京 | 神田 | ぼたん | 鳥 | 営業中 |
東京 | 神田 | 藪 | 蕎麦 | 営業中 |
東京 | 神田 | まつや | 蕎麦 | 営業中 |
東京 | 神田 | 松栄亭 | 洋食 | 休業中 |
京都 | 三条木屋町 | 松鮨 | 鮨 | 2017年閉店 |
東京 | 外神田 | 花ぶさ | 割烹・小料理 | 営業中 |
東京 | 上野 | 蓮玉庵 | 蕎麦 | 営業中 |
東京 | 浅草 | 並木藪蕎麦 | 蕎麦 | 営業中 |
大阪 | 難波 | 大黒 | かやく飯 | 営業中 |
大阪 | 笠屋町 | みのや | ちらし寿司 | 閉店 |
大阪 | 船場 | 丸治 | 小料理 | 閉店 |
神奈川 | 横浜 | 徳記 | 中華 | 営業中 |
神奈川 | 横浜 | スペリオ | バー | 閉店 |
神奈川 | 横浜 | 博雅 | 中華 | 店舗は閉店。 現在は通信販売 もしくは工場内直販 |
神奈川 | 横浜 | 荒井屋 | 牛鍋 | 営業中 |
神奈川 | 横浜 | パリ | バー | 営業中 |
神奈川 | 横浜 | 根岸家 | 居酒屋 | 営業中 |
三重 | 近江 | 招福楼 | 懐石・会席料理 | 営業中 |
京都 | 南座界隈 | 多助 | 鉄板焼 | 閉店 |
京都 | 祇園四条 | 蛸長 | おでん | 営業中 |
京都 | 祇園四条 | 由良之助 | 釜めし | 不明 |
東京 | 銀座 | 天國 | 天ぷら | 営業中 |
東京 | 銀座 | 寿司幸 | 寿司 | 営業中 |
東京 | 銀座 | 菊鮨 | 寿司 | 営業中 |
東京 | 銀座 | 煉瓦亭 | 洋食 | 営業中 |
長野 | 松本 | 三河屋 | 鍋 | 閉店 |
長野 | 松本 | 竹乃屋 | 中華料理 | 閉店 |
長野 | 上田 | 弥ぐるま | 洋食 | 閉店 |
長野 | 上田 | 刀屋 | 蕎麦 | 営業中 |
長野 | 松本 | まるも | コーヒー | 営業中 |
東京 | 浅草 | 中清 | 天ぷら | 営業中 |
東京 | 浅草 | 前川 | うなぎ | 営業中 |
東京 | 浅草 | 金田 | 鳥 | 閉店 |
東京 | 浅草 | 金鮨 (金寿司) | 寿司 | 営業中 |
東京 | 浅草 | ヨシカミ | 洋食 | 営業中 |
東京 | 浅草 | 松風 | 居酒屋 | 2009年3月閉店 |
東京 | 浅草 | アンジェラス | 喫茶店 | 2019年3月閉店 |
東京 | 深川 | みの家 | 馬肉 | 営業中 |
東京 | 伊せ喜 | どじょう | 2011年閉店 | |
名古屋 | 大須 | 百老亭 | 餃子屋 | 大須店は閉店 今池店、上田店は営業中 |
名古屋 | 伏見 | 清富 | おでん | 閉店 |
名古屋 | 名駅南 | 宮鍵 | 鳥 | 営業中 |
名古屋 | 新栄 | 石川 | 洋食 | 閉店 |
名古屋 | 伏見 | たい家 | 割烹・小料理 | 閉店 |
名古屋 | 伏見 | 鯛めし楼 | 鯛料理専門店 | 営業中 |
京都 | 上京区六番町 | 大市 | すっぽん | 営業中 |
京都 | 嵐山 | 錦 | 料亭 | 営業中 |
フランス | モンパルナス | ラ・クーポル (La Coupole) | カフェ・レストラン | 営業中 |
フランス | モンパルナス | クロズリー・デ・リラ (La Closerie des Lilas) | カフェ・レストラン | 営業中 |
フランス | リヨン | メール・ギイ | レストラン | 不明 |
フランス | ニース | アーン・ルージュ (L’ane Rouge) | レストラン | 営業中 |
フランス | サン・マルタン運河 | B・O・F | 居酒屋 | 不明 |
池波正太郎は大正12年1月25日に浅草で生まれました。
戦前、戦後の日本を体験し、この『散歩のとき何か食べたくなって』でも氏の子供の頃の体験と大人になってからの体験が描かれています。
今、氏が生きていたら98歳。ひょっとしたらまだ生きていてもおかしくない年齢です。
物心付いた頃には既に昭和になっていたことだろうと思われるけど、江戸の匂いは祖父母などの年代の年寄から嗅ぎ取ることは想像するに出来ただろうと思います。
「散歩の時何か食べたくなって」の初版は昭和50年(1975)、今手にしているのが昭和56年(1981)に新潮文庫として出版された改定版てす。
今年は令和4年ですからそれから47年もの年月が流れています。
上の表にはエッセイに掲載してある全てのお店を網羅して有りませんが、流石に食通だけあって美味いお店が多いような感じです。
食べログで調べてみると比較的点数の高いお店が多かったです。
尤も点数が絶対評価では無いことは明白ですが。
本のなかで紹介されているお店は、今でも営業しているお店が多く、生活圏内であればお店へ行って食べることが出来ます。
ただ、当時の儘かと言えばそれはもう無理で、例えば、大須の百老亭は氏が訪れていたお店は既に無くなってしまっているけど今池店、上田店は現在も営業しています。
神田の藪蕎麦は平成25年2月(2013)の火事により閉業かと思われたけれど平成24年10月(2014)には新しく建て替えて営業を再開しています。
また、松本の「竹乃屋」は既に閉店していますが、孫夫婦が別な場所で「驪山」という名前で中華料理を引き継がれています。
などなど、やはり歴史を感じる次第です。
残念ながら既に閉業されてしまってるお店も数多く、今後も閉業になるお店も出てくるかと思います。
既に閉業してしまってるお店は「行きたくても行けない」そんな寂しい思いも湧いてきます。
令和に入り世界的な感染症の広まりにより飲食店業界全体がピンチに陥ってます。
その中には老舗と呼ばれているお店も例外ではありません。
そう考えると、氏が訪れていた数々のお店も、今は営業していますが今回の騒動にかかわらず後継者問題など様々な問題で、この先惜しくも閉業になることもあるかと思いますので、今のうちに行けるところは行って見たいと思う気持ちが湧いてきます。
なかなか当時のままのお店が現存している店舗は少ないかと思いますが、氏の訪れたお店を訪ねて見ることで、もしかしたら時代を超えて同じ空間を共有出来て、タイムスリップした気持ちにさせてくれるかもしれません。
それはそれで楽しみです。