日本には春夏秋冬の四季があり、その季節になると様々な野菜や果物や魚介類が旬を迎えます。それら食材は、一年を通してエネルギーが高く栄養豊富で、何よりも一番美味しく頂ける時期です。旬の食材を食べることで地球のエネルギーの循環サイクルに乗っかり、栄養価の高い食材を摂ることが出来ます。そうすることでいつまでも健康を維持することが出来るのでないかと考えます。では、睦月にはどんな旬の食材があるのでしょうか。
ヒラメ(平目)
ヒラメは古く8世紀頃の奈良時代には沿岸地域で多く獲れる魚でその地域の人びとでその多くは干物や塩漬けなどで消費されていました。
江戸時代に入ると高級魚として扱われ刺身や寿司ネタとして食べられるようになりました。現代では養殖技術の向上によりヒラメの多くが養殖され一般家庭でも多く諸費されるようになりました。
ところでヒラメと似た魚でカレイがありますが、見た目や捕食の違いなどだけで生物的な違いはないそうです。
ヒラメ(平目)の栄養
ヒラメは低カロリーで高タンパク質の白身魚で、健康に良い栄養素が豊富に含まれています。以下に、ヒラメの主な栄養素とその健康効果についてまとめました。
高タンパク質
ヒラメは筋肉の形成や修復に必要なタンパク質を豊富に含んでいます。
また、消化吸収が良いので、胃腸に優しく、高齢者や病後の栄養補給にも適しています。
低脂肪・低カロリー
100gあたり約100kcalと低カロリーで、脂肪分も少ないため、ダイエット中や脂質制限が必要な人に適しています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)
脂質に含まれるこれらの成分は、中性脂肪を低下させたり、血液をサラサラにして動脈硬化を予防する効果があります。
DHAは脳の健康をサポートし、認知機能の向上や記憶力の改善に寄与します。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨の健康維持に重要です。
ビタミンDは免疫機能を高める効果もあります。
ビタミンB群(B1、B2)
ビタミンB1は糖質の代謝を促進し、疲労回復に役立ちます。
ビタミンB2は脂質やたんぱく質の代謝を助け、肌や粘膜の健康をサポートします。
ミネラル類
カリウム:体内の余分なナトリウムを排出し、むくみや高血圧を予防します。
セレン:抗酸化作用があり、老化やがん予防に役立ちます。
ヒラメは、栄養豊富でさまざまな調理法に適応できる魚です。健康維持や美容に良い成分を多く含むので、積極的に食事に取り入れてみてください。
ヒラメ(平目)の料理
冬の味覚を楽しむひと時、ヒラメ料理は刺身から煮物、そして洋風料理に至るまで、ヒラメという魚の持つ清廉な味わいは、料理を作る人の腕を確かめる良い機会となる。ここに、ヒラメを使った料理の幾つかを記してみる。
ヒラメの薄造り
ヒラメの良さを余すことなく味わいたいなら、やはり薄造りが第一だ。
骨に沿って丁寧に捌き、透けるほど薄く切る。
これを氷の上に広げれば、食卓が一気に華やぐ。
「薄く切りすぎた」と思うほどの一切れが、実に美味い。
ポン酢と薬味でいただけば、ヒラメの淡泊さに醤油の酸味が絶妙に合わさる。
箸が止まらない。
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材料(4人分)
- ヒラメ(刺身用)……400g(柵で購入する場合、2柵程度)
- ポン酢……適量
- もみじおろし……適量
- 細ねぎ……適量
ヒラメの煮付け
江戸風に甘辛い煮付けにするのも、ヒラメを愉しむ方法の一つだ。
酒と醤油、そして砂糖。これが煮付けの三本柱である。
ヒラメを鍋に置き、煮汁の香りが台所に満ちるまで煮る。
その柔らかい身が味をたっぷりと吸い、箸でほぐすときの感触が堪らない。
ご飯との相性も申し分なく、お代わりの声が上がるだろう。
材料(4人分)
- ヒラメ(切り身)……4切れ
- 醤油……大さじ3
- 酒……大さじ4
- みりん……大さじ2
- 砂糖……小さじ2
- 生姜(薄切り)……1かけ分
ヒラメのムニエル
洋風にアレンジするならムニエルが好適だ。小麦粉をはたいたヒラメをたっぷりのバターで焼く。
この際、皮目のカリッと焼けた部分が、しっかりとした香ばしさを添えてくれる。
仕上げにレモンを軽く絞れば、爽やかさと深いコクが同時に楽しめる一皿となる。
食卓にパンと白ワインを添えれば、至福の洋風宴会だ。
材料(4人分)
- ヒラメ(切り身、皮つき)……4切れ
- 塩こしょう……少々
- 小麦粉……適量
- バター……20g
- オリーブオイル……小さじ1
- レモン……1/2個
ヒラメのフライ
フライにしたヒラメは、どこか懐かしい味がする。
小麦粉、卵、パン粉の衣を纏わせ、しっかりと熱した油に投入すれば、周囲に美味しそうな香りが漂う。
揚げたてを口に運べば、外はサクサク、中はヒラメの柔らかい身がほのかに甘い。
特製タルタルソースをたっぷりつけてどうぞ。
材料(4人分)
- ヒラメ(切り身)……4切れ
- 小麦粉……適量
- 卵……2個
- パン粉……適量
- 塩こしょう……少々
- 揚げ油……適量
- タルタルソース(マヨネーズ、ピクルス、ゆで卵、玉ねぎなど)……適量
ヒラメの味噌汁
最後に、締めにぴったりの味噌汁。ヒラメのアラを使えば、これ以上ないほど旨みの詰まった一杯ができる。
昆布出汁と合わせた汁は、冬の寒さを忘れさせる。
ほっと心温まる料理とは、こういうものだろう。
材料(4人分)
- ヒラメのアラ……300g程度
- 昆布……10cm四方1枚
- 水……800ml
- 味噌……大さじ3
- 長ねぎ(斜め切り)……1本
- 豆腐(好みで)……1/2丁
ヒラメという魚は、日本の料理文化の粋を体現したような食材だ。どのような調理法でも、その柔らかな風味が存分に引き立つ。家族や友人とともに、季節の味を語らう食卓に、ぜひこの魚を連れてきていただきたい。