「今日は、一人でいたい」
そんなふうに思うことはないだろうか。
仕事や人付き合いに少し疲れた日。
誰にも気を遣わず、自分の好きなように過ごしたい日。
一人で酒を飲んで、好きなものを食べる。
テレビをつけたまま、何となく時間を過ごす。
そんな時間を、贅沢だと思う人もいる。けれど、一人でいることが寂しいという人もいる。
美味しいものを食べたら、
「美味しいね」と
誰かと顔を見合わせたい。
きれいな景色を見たら、
「すごいね」と
誰かと一緒に眺めたい。
嬉しいことがあれば、誰かに話したい。
そんな人にとっては、一人でいることよりも、誰かと同じ時間を過ごすことのほうが贅沢なのかもしれない。
では、一人でいることの贅沢とは、何なのだろう。
一人でいることと、孤独は違う
まず、ここは分けて考えてみたい。
一人でいることは、ただの状態だ。
自分から一人になることもある。
「今日は一人で飲もう」
「少し一人でいたい」
「たまには一人で旅をしてみよう」
そんなふうに、自分で選んで一人になることもある。
孤独は、少し違う。
誰かと話したいのに、話す相手がいない。
誰かと一緒にいたいのに、一人でいる。
自分では望んでいないのに、孤独を感じてしまうこともある。
だから、
一人でいることと孤独は同じではない。
一人でいても、心穏やかに過ごせる人がいる。
反対に、
大勢の人に囲まれていても、寂しさを感じることがある。
「一人だから寂しい」
とは、限らないのである。
一人になりたい時
一人になりたいと思う時も、人によって違う。
人に気を遣うことに疲れた時。
少し考え事をしたい時。
好きなことに夢中になりたい時。
何もしたくない時。
誰にも邪魔されたくない時。
ただ、静かに過ごしたい時。
理由を考えてみれば、いろいろある。
だから、「一人になりたい」というだけで、人付き合いが嫌いなのだと決めつけることもできない。
人が嫌なのではない。ただ、しばらく自分の時間に戻りたい。そんな時がある。
人と一緒にいると、知らないうちに相手に合わせている。話すことも、食べるものも、帰る時間も。それが嫌なわけではない。
でも、たまには誰にも合わせず、自分のペースで過ごしたくなる。そんな時間が、一人でいることの心地よさなのかもしれない。
一人が寂しい人もいる
もちろん、そうではない人もいる。
「一人でいるより、誰かといたい」そう思う人もいる。それは、一人でいることが苦手だから悪い、という話ではない。その人にとっては、誰かと一緒に感じることが、楽しさの一部なのだ。
美味しいものを食べた時、「これ、美味しいね」と誰かに言いたい。
旅先で素晴らしい景色に出会ったら、「きれいだね」と隣にいる人と顔を見合わせたい。
楽しいことがあったら、その場で誰かと笑いたい。一人で味わうより、誰かと一緒に味わったほうが、楽しい。
そんな人にとっては、一人でいる時間が「自由」ではなく、少し物足りない時間になることもある。それも、ごく自然なことだと思う。
では、贅沢とは何だろう
贅沢というと、高価なものを思い浮かべる。高級な料理。高価な酒。遠くへの旅行。
でも、本当のところは、それだけではないのかもしれない。
誰にも予定を合わせずに過ごせること。
好きなものを、好きなように食べること。
ゆっくり酒を飲むこと。
何もしないで、ぼんやりしていること。
そんな一人の時間を、贅沢だと感じる人もいる。
けれど、
気の合う人と美味しいものを食べること。
同じ景色を見て、一緒に「きれいだね」と言えること。
くだらないことで笑えること。
それを贅沢だと思う人もいる。どちらが正しいという話ではない。一人でいることに価値を感じる人もいれば、誰かといることに価値を感じる人もいる。
そして、いつも一人が好きな人が、ふと誰かといたくなる夜もある。いつも誰かといたい人が、たまには一人になりたいと思うこともある。
人の気持ちは、そんなにきれいに分けられない。だからこそ、自分にとって何が贅沢なのか。それを知っていることは、案外大切なのかもしれない。
一人でいることが心地よい夜もある。
誰かと一緒にいたい夜もある。
一人でいることを寂しいと思うことがあってもいい。一人でいることを、贅沢だと思えることがあってもいい。
結局のところ、一人でいることと誰かといること、どちらがいいという話ではない。その時の自分が、何を求めているのか。それに気づけること。
もしかすると、それこそが、年齢を重ねたからこそ味わえる贅沢なのかもしれない。