日本には春夏秋冬の四季があり、その季節になると様々な野菜や果物や魚介類が旬を迎えます。
それら食材は、一年を通してエネルギーが高く栄養豊富で、何よりも一番美味しく頂ける時期です。
旬の食材を食べることで地球のエネルギーの循環サイクルに乗っかり、栄養価の高い食材を摂ることが出来ます。そうすることでいつまでも健康を維持することが出来るのでないかと考えます。
では、葉月にはどんな旬の食材があるのでしょうか。
蛸（タコ）
タコは腕が8本ある海の生き物で、日本では縄文時代から食べられてきました。刺身、たこ焼き、酢の物など、さまざまな料理に使われています。
特に関西で人気があり、日本は世界でも有数のタコの消費国です。
タコは頭がよく、体の色や形を変えて身を守ることもできます。昔から精がつく食べ物としても知られ、「タコ入道」や「吸い付くような演技」など、言葉や文化にもたびたび登場しています。
蛸（タコ）の栄養と健康効果
高たんぱく・低脂肪
蛸（タコ）は脂肪分が少なく、良質なたんぱく質が豊富→ 筋肉や肌、髪の健康を保ち、ダイエット中にもおすすめ
タウリン（肝機能サポート）
蛸（タコ）に多く含まれるタウリンは、疲労回復・肝臓の働きを助ける成分→ お酒をよく飲む人や疲れやすい人にぴったり
ビタミンB12
貧血を予防し、神経の働きを整えるビタミン→ 集中力や記憶力の維持にも効果的
セレン・亜鉛
体の老化を防ぐ抗酸化ミネラル→ 免疫力の向上や代謝のサポートに
蛸（タコ）は、たんぱく質が豊富で脂肪が少ない、ヘルシーな海の食材です。疲れをとってくれるタウリンや、貧血を防ぐビタミンB12もたっぷり含まれています。体の元気をサポートしてくれる、栄養バランスのよい食べものです。
蛸（タコ）の料理
蛸のやわらか煮
夜の帳が下り、台所の鍋から、 ことことと、出汁と醤油の匂いが立ち上がる。 蛸をぶつ切りにし、生姜を利かせた甘辛い煮汁で、静かに火を入れる。 じっくり炊くほどに、身はやわらかくなり、箸を入れればすっと裂ける。 皿に盛り、辛子を少し添えれば、それだけで立派な膳の顔となる。 酒の肴に、白飯の友に、どちらに転んでも品がある。 蛸というやつ、見かけによらず、実に育ちのよい味でございます。
レシピ（4人前）
- 茹で蛸 … 300g（ぶつ切り）
- 生姜 … 1片（薄切り）
- 醤油 … 大さじ3
- みりん … 大さじ2
- 酒 … 大さじ3
- 砂糖 … 大さじ1
- 水 … 200ml
蛸と胡瓜の酢の物
暑さにやられた日には、こういう一皿がしみる。 蛸の薄切りと、塩もみ胡瓜、そこに甘酢がからまると、 ひとくちで涼しさが喉を滑ってゆく。 酢の香り、胡瓜の青さ、蛸の歯応え―― この三つがきれいに揃えば、余計な細工はいらぬ。 器に盛れば、それだけで“きちんとした家”の味になる。
レシピ（4人前）
- 茹で蛸 … 150g（薄切り）
- 胡瓜 … 1本（薄切り、塩もみ）
- 酢 … 大さじ3
- 砂糖 … 大さじ1
- 醤油 … 小さじ1
- 生姜（千切り） … 少々（お好みで）
蛸の唐揚げ
酒の場にて、気取りなく出すには、これが一番。 ぶつ切りにした蛸を、醤油と酒で下味をつけ、 粉をまぶして揚げるだけ――だが、そのうまさは格別である。 外はからりと香ばしく、中はもちりとした歯応え。 噛むほどに、海の香りと蛸の旨味が、口いっぱいに広がる。 皿に盛れば、たちまち盃が進む。下町の居酒屋に似合う味だ。
レシピ（4人前）
- 茹で蛸 … 300g（ぶつ切り）醤油 … 大さじ1酒 … 大さじ1生姜汁 … 小さじ1片栗粉 … 適量揚げ油 … 適量
蛸飯
米の中に蛸のぶつ切りを放ち、 出汁と酒で炊き上げる。ふたを開ければ、なんとも言えぬ香り。 蛸の旨味が米に沁み込み、 そこへ三つ葉を散らし、針生姜をのせれば、 それはもう、豪華な膳でございます。 味は濃くなくとも、満ち足りる―― こういう飯こそ、季節の恵みを感じるものでございます。
レシピ（4人前）
- 茹で蛸 … 150g（小さめのぶつ切り）
- 米 … 2合
- 出汁 … 360ml
- 酒 … 大さじ2
- 醤油 … 大さじ1
- 塩 … 少々
- 三つ葉、針生姜 … お好みで
蛸というやつ、妙な形をしていながら、料理となるとまことに律儀で、実に旨味深い。江戸前、関西、瀬戸内――どこでも愛されるには、訳があるのですな。